お弁当にいかが?コメ作りから始めるフェイクフードおにぎりの作り方
2016/08/02
日本人のソウルフード、お米。
フェイクフードでは多くの作品でお米を使います。
ハンドメイド専科でもこれまで「オムライス」や「お寿司」でご紹介してきましたね。
これまでは、お米を作るところはあえて簡略化してきましたが、今回はそのお米に焦点を当てて、一から作ってみたいと思います。
とてもユニークな方法も登場しますから、お楽しみください。
レシピ1:癒しのフェイクフード?お米の作り方3種
お米と一口に言っても、用途によってサイズが変わってきます。
今回は代表的なお米の作り方を、サイズが大きく手順が楽な順に3つご説明します。
作りたいフェイクフードに合わせて作り方を確認してくださいね。
手順1:準備運動的、ただただちねるだけのお米(実物大~1mm程度まで)
簡単で場所も取りませんが、サイズがやや大きめです。
また、粒とごとの大きさにもばらつきが出やすい作り方です。
難易度: ★☆☆☆☆ 親指と人差し指だけあれば誰にでも作れます。
完成度: ★★☆☆☆ どう見てもお米です。
予算: 100円 (粘土を100均ショップで購入の場合)
用意するもの
材料
- 樹脂粘土(白:100均ショップ・ダイソーで購入できます)
道具
- 不要なプラスチックトレイなど
作業手順
1.樹脂粘土の白を少量取り出してよくこねます。
粘土は基本的に着色をせずにそのまま使いますが、乾燥後に透明度が出る粘土(モデナなど)を使う場合は、ごく少量の白のアクリル絵の具を混ぜる必要がある場合があります。
2.こねた粘土を、そのまま爪で小さくちぎって丸めます。
ラグビーボールの形になるように、やや細長く丸めるのがコツです。
できるだけ同じサイズになるように頑張ってください。
後はこれを繰り返すだけです。
粘土は少量ずつ取り出してこねるのが乾燥しにくくてベストですが、一度に多目にこねた場合は、必ずラップなどで包んで作業をしましょう。
乾燥が進んだ粘土は細かくなるほど形がまとまらず、ボロボロと割れ目が入りやすくなってしまいます。
お米をこねるときには、あらかじめ不要なプラスチックトレイ(スーパーの食品トレイや豆腐の空き容器など)を下に準備しておき、どんどん落としながらこねていくと効率よく作業ができます。
取り出した粘土をすべて丸め終わったら、そのまま乾燥させればお米の完成です。
※写真では手袋をしていますが、実際は爪を利用して素手で作業したほうがサイズもそろえやすく、はるかに効率よくできます。
この点は以降の作業も共通です。
手順2:カットしてサイズを統一する方法(1mm~0.5mm程度まで)
粘土をあらかじめひも状にしておくことで、ある程度の小さいものが作れるようになります。
粘土の乾燥との競争になりますので、時間的には一番せわしい作り方です。
難易度: ★★☆☆☆ 粘土が乾燥するまでに成形する必要があります。
完成度: ★★☆☆☆ 少し小さめのお米です。イヤリングなどはこのサイズがお勧めです。
予算: 100円 (粘土を100均ショップで購入の場合)
用意するもの
材料
- 樹脂粘土(白:100均ショップ・ダイソーで購入できます)
道具
- 不要なプラスチックトレイなど
- カッター(デザインナイフなどの細かい作業向けの物があればベストです)
作業手順
1.樹脂粘土をよくこねておきます。
少量だけとりわけ、できるだけ細いひも状に伸ばしていきます。
粘土が固いとなかなか細くなってくれませんので、固すぎる場合はラップに包んで熱湯で湯煎するなどして柔らかくしておいてください。
紐にした残りの粘土は、必ずラップに包んで乾燥しないようにしておきます。
2.ひも状の粘土をカッターなどでカットします。
お米の大きさに合わせて、同じサイズになるようにカットしてください。
ある程度(5~10粒程度)カットしたら、カットした粒を指で丸めます。
お米の形になるように、ラグビーボール型に丸めていきましょう。
カットした粘土は大変乾燥しやすく、乾くと形がつけられなくなります。
カットした粘土はもちろんですが、いったんひも状にしてしまった粘土は、できる限り早く作業を終わらせる必要があります。
できるだけ少量づつ作業するよう心がけましょうね。
手順3:専用の道具を使ってお米を作る方法(0.5mm~極小サイズまで)
これは、主にドールハウス用のフェイクフードを作る作家さんたちが、工夫して編み出したとてもユニークな方法です。
ものすごく小さい米粒が作れ、しかも乾燥に追われずに作業できる優れた方法だと思います。
初心者さんが最初に取る方法ではありませんが、とても面白いのでご紹介します。
難易度: ★★★★☆ 専用の器具を自作します。大量に極小のお米を作る人向け。
完成度: ★★★☆☆ 鼻息で簡単に飛び散る(?)1/12サイズのお米です。
予算: 300円 (粘土を100均ショップで購入の場合)
用意するもの
材料
- 樹脂粘土(100均の物でも作業できますが、できれば元から柔らかい粘土か水で延ばせるタイプのものがあればより楽に作業できます。)
道具
- 不要なプラスチックトレイなど
- コスメティックシリマー (100均ショップのコスメコーナーにある注射器型のスポイトです。サイズが複数ある場合は、大きめのものがお勧めです。)
- ピンバイス (極細のハンドドリルです。ダイソーの工具売り場で購入できます。)
作業手順
1.最初にお米を作るための道具を用意しましょう。
100均ショップのコスメコーナーで売っている、プラスチックの注射器型のスポイト(シリマー/シリンジとも呼びます)を使います。
シリマーは注射器型の本体(バレル)と、押し込む棒(ブランジャー)、金属の針の部分が付いた先端(ノズル)の3つがセットになっています。
この先端の部分から針を外し、粘土を少量だけ押し出せるように穴を加工します。
まずノズル部分を取り外し、金属の針が付いている部分をカッターなどで切り落とします。
2.火を使ってノズルの先端を加工します。
カットしたノズルを、一度本体にセットします。
カットした部分をライターなどであぶり、先端を溶かします。
※火を使いますので、水がある場所(キッチンなど)で作業してください。
ライターであぶると、プラスチックが燃える場合があります。
すぐに消すことができる程度の火(炎上するほどは燃えません)ですが、万一の場合があるので、必ず大人の方が作業をするようにお願いします。
先端が溶けて、カットした穴がふさがっていればOKです。
後は先端にピンバイスで小さい穴をあけ直せば道具は完成です。
なぜこんな面倒な手順を踏むかというと、元々の金属の長い針で粘土を押し出そうとすると、非常に強い力が必要になるからです。
おそらく普通に手で押しただけでは不可能でしょう。
かといって、本体側の先端の穴では大きすぎて、極小のお米にはなりません。
なので、あえて先端を一度ふさぎ、必要な細さの穴をあけ直すという一見二度手間に見える方法が考えられたのでしょう。
ただ、この方法は後々非常に理にかなった方法であることがわかります。
3.シリマーに粘土を詰めてみましょう。
ノズル部分は外したまま、よくこねた粘土を本体に詰めます。
ブランジャー(押し込む棒の部分)で先まで押し込むのですが、ブランジャーと粘土の間に空気が入ってしまうと、空気がクッションになって余分な力がかかってしまい、作業しにくくなってしまいます。
できるだけ空気が入らないように、細長い形に粘土を入れると良いでしょう。
ブランジャーで粘土を押し込んで先端から少し粘土が出てきたら、ノズル部分をセットします。
こうすることでノズル部分にも空気が入り込まずに、スムーズに粘土を押し出せるようになります。
4.少しづつ押し出した粘土を米粒にします。
後は上の写真の通り、先端からわずかにねんどを押し出して、指先でこすり取るようにしながら下に落としていきます。
軽く丸めてラグビーボール型にしながら作業をしていきます。
右上の写真でもわかるように、押し出す粘土は極々少量です。
いかに小さな米粒が作れるかがお判りいただけるでしょうか。
一見気が遠くなるような細かい作業ですが、このシリマーを使う方法にはほかにない利点があります。
途中までで作業を中断しても、残りの粘土が乾燥しにくいのです。
気が向いたらお米をちねり、飽きたらラップ保存しておけば、いつでも隙間時間に続きをやることができます。
無駄が出ないよく考えられたアイデアですね。
参考
シリマーの応用編。
極小の米粒を作るのに使うシリマーですが、先端のノズルを付けずにそのまま粘土を押し出すと、大きいサイズの米粒も均一に作ることができます。
ノズルに開ける穴のサイズを変えれば、望むサイズの粒を作る便利な道具になります。
私はこの極小サイズ用のほかに、中サイズのお米が作れるくらいの穴をあけたものを用意しています。
また、ノズルを付けない状態で粘土をそのまま長く押し出すと、パスタ風の丸麺が簡単に作れます。
粘土をあらかじめかなり柔らかめにしておく必要はありますが、手で延ばしたりり切ったりして作る麺よりもなめらかで均一にできるので、特に洋食を作るときには重宝です。
ポイント
良い機会なので、粘土の「ちねり物」について少しお話をしましょう。
今回のお米のように、小さい粒をたくさん使うようなフェイクフードはほかにもあります。
例えば胡麻やナッツのように、そのままでは使わないけれどいざというときにないと不便な食材たちです。
こういう脇役たちは、できればあらかじめ作りためておくのがベスト。
でも、作業にはそれなりに時間や手間がかかるのも事実です。
わたしの場合ですが、ハンパに時間が空いてしまったり、気分が落ち込んで何もやる気が出ないときに、このような小さなパーツをチマチマとちねるようにしています。
手順を考える必要もなく、ただ黙々と指先だけを動かしていればいつの間にか結構な量が貯まってくれるので、暇つぶしにはもってこい。
実は心理学的にも理に適っていて、落ち込んだり鬱な気分の時は、手先を使って集中できる作業をやると良いのだそうです。
他のことを考えずに黙々と作業することで、気分がスッキリ切り替わるのだとか。
もしかしたら、ボケ防止にもいいんじゃないかとひそかに思ってます(笑)
ちなみに、おにぎりの場合1個あたりに必要な米粒は、おにぎりのサイズの粘土とほぼ同量かやや多目を目安にしてください。
余裕があれば、少しでも多めに作っておくことをお勧めします。
レシピ2:お米さえあればこっちのもの。さあ、おにぎりを作りましょう。
難易度: ★☆☆☆☆ お米を張り付けるだけの簡単なお仕事。
完成度: ★★★★★ 食品サンプルのような見栄えのする作品が作れます。
予算: 0~200円 (粘土を100均ショップで購入の場合)
用意するもの
材料
- 樹脂粘土(白:お米の残りで充分です。黒/緑:海苔に使います)
- 木工用ボンド
道具
- つまようじ
- ストロー(細いものがあればベストですが、なければ細い筒状の物で代用可)
- ハサミ
- アルミホイル(2枚:海苔を作るのに使います)
作業手順
1.先に海苔を準備しておきましょう。
海苔の作り方は、別のレシピ「焼き海苔の作り方」にまとめてあります。
手順に従ってあらかじめ作っておいてください。
海苔は乾燥した状態の物を使いますので、少なくともおにぎりの乾燥に間に合うように準備しましょう。
2.おにぎりの土台を作ります。
米粒を作ったので、本物のようにおにぎりの形に握ることも可能ですが、ものすごく大量の米粒が必要になってしまいますよね。
米粒を作るのも手間がかかるので、ちょっとズルをして先におにぎりの形の土台を作り、表面にだけ米粒を貼り付けていきます。
樹脂粘土の白を作りたいおにぎりのサイズ分取り出してよくこねておきます。
こねた粘土を一度手のひらで玉に丸めて、軽く押しつぶします。
後は作りたいおにぎりの形に成形するだけです。
今回はわかりやすい三角おにぎりの形にしてみました。
米粒の隙間から表面が見えたときの用心に、表面に米粒を模した粒々を付けておきます。
ストローなどを少しつぶして断面が楕円形になるようにしておき、粘土の表面に押し当てて跡を付けていきます。
まんべんなく跡が付いたらそのまま完全に乾燥させてください。
※面倒なら、粒々を付けるところは飛ばしても構いません。
米粒の隙間から見えるだけなので、正直やらなくても良いかなという感じではあります。
今回はやや大きめの作品を作るため、念のために手順に入れてあります。
お米の表面に跡を付ける道具については、別のレシピ「握り寿司」に詳しく載っていますので参考にしてください。
3.お米を張り付けておにぎりを完成させましょう。
土台の粘土が乾燥したら、いよいよおにぎりを完成させます。
土台の表面につまようじを使って木工用ボンドを塗り、米粒を貼り付けていきます。
ボンドは一度に全面に塗らず、お米を貼る範囲にだけ塗った方が効率よく作業できます。
また、ボンドを塗ったつまようじでお米を拾うようにすると、1粒づつ簡単にお米を貼ることができます。
できるだけ隙間を作らないように丁寧にお米を貼りつけたら、時々指で米粒を押さえてあげます。
これは米粒をしっかりと貼りつけるためであると同時に、粒の間にできた隙間を自然に埋めるためでもあります。
最後まで米粒を貼りつけ終われば、もうおにぎりの完成も目前です。
万一途中で米粒が足りなくなってしまったら?
これはもう、米粒を作り足すしかありません。
頑張ってまた米粒を作りましょう。
4.海苔を巻きます
あらかじめ作っておいた海苔を、おにぎりに合わせてハサミでカットします。
木工用ボンドを使い、おにぎりに海苔を貼りつければ完成です。
海苔の巻き方はいろいろありますね。
自分でコレ!と思う形に作ってみてください。
樹脂粘土で作ったおにぎりは、強度もバッチリです。
ヒートン(ねじ付きの輪金具)を差し込めば、ストラップやバッグチャームに加工ができますよ。
参考
小さい米粒(中サイズ/手順2の物)を作った人は、もっと小さいおにぎりにチャレンジしてみてください。
参考に、ピアスサイズに作ったおにぎりをご紹介します。
片方は樹脂粘土を使った梅干しをチャーム代わりに。
もう一方は先端をかじったようにカットして、鮭フレークがのぞいている形です。
小さい米粒があれば、こんなカワイイ作品も作ることができます。
このサイズであれば、おにぎりの土台の表面に跡を付けておく必要はありません。
ただ形を作って米粒を貼りつけるだけなので、手軽にチャレンジしてみましょう。
さらに、小さいサイズ用の海苔を簡単に作る方法です。
樹脂粘土の海苔は、頑丈ですがやや厚みがあり、あまり小さいサイズには不向きな場合があります。
そんな時は、こんなちょっとずるい手を使うというのもアリ?
クッキングシートを1枚、シワシワにします。
指でもむようにして、とにかく細かくシワにしてください。
黒のマジックペンを使い、しわにしたクッキングシートの両面を塗ります。
マジックが染みますので、必ず下に捨てる紙などを敷いて作業してください。
両面しっかりと、2度3度塗りをしたら、ハサミでカットします。
おにぎりに貼りつけてからニスを塗れば、驚くほどリアルな焼き海苔になります。
この方法は広い範囲にはボロが出やすくて不向きなのですが、小さい範囲や刻み海苔くらいならむしろリアルさが増すと思います。
まとめ
おつかれさまでした。
今回はある意味フェイクフードの真髄の一端とも言うべき、細かくねちっこい(?)作業をご案内しました。
一つ一つの地味な作業の積み重ねの上に、可愛くリアルで人目を惹くフェイクフード作品があります。
こんなのも、いかにも手芸っぽくて良くありませんか?
気分が落ち込んだら、あなたもお米や胡麻をちねって気分転換しましょ!
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